ギリシャの嵐はひとまず去った、が
世界の注目を集めたギリシャ議会再選挙は、財政緊縮賛成派が合わせて過半数を取得したため、今後も財政緊縮政策の維持及びユーロ離脱回避の見込みとなったようです。 急進左派が第一党を抑える→緊縮財政策破棄→なしくずし的にEU離脱→ユーロの壊滅的危機という最悪のシナリオはとりあえず回避されたようで、少しほっとしています。 しかし、振り返るとここに至るまでには欧米諸国はじめギリシャに対する内政干渉に近いまでのユーロ残留への期待表明や働きかけが強くなされていたのは疑いようのない事実でしょう。 こうしたことをギリシャの人たちはどう感じていることでしょうか。 他国の干渉がかえって国内のナショナリズムを煽ってきた例は枚挙に暇がないことでしょう。 今回のギリシャの例も今後に禍根を残して「終わりの始まり」になりはしまいかと、なんだかスッキリしないものが残ります。
被災マンションの復旧・再建、遅れる
一方の日本。 東日本大震災で被災し全半壊の認定を受けたマンションの復旧・再建に、マンション管理組合内部の権利関係や意思決定過程が足かせになっているとの情報が入ってきています。 被災マンションが地震に続いて二重の悲劇を被っているというのです。 全壊認定を受けたマンションを取り壊し、一度区分所有関係を解消するためにも区分所有者全員の同意が必要。 マンションの補修手続を管理組合が主体となって進めようとすると、区分所有法上の専有部分と共有部分との区別が顔を出す。 このようなことで、被災マンションの迅速な復旧ができるはずはない、と思わざるをえません。 法律上の原則と実際の社会生活上の要請とが逆立ちしているといわざるをえない状況です。
行政の積極的介入も必要
やはり、地震等で朽廃したり現住区分所有者が著しく高齢化もしくは減少してスラム化したマンションについては、行政の積極的な干渉、いな介入も検討されるべき時代に突入していると感じます。 こうしたマンションでは、管理組合の自主独立の精神に基づく自主的運営も正直言って期待しがたいと思われます。 似た内容の発言は、先の日本マンション学会のメインシンポジウムでも複数の識者から飛び出したようですが、正鵠を射ていると思います。 制度設計の方法は、行政が主体的にマンションの倒壊度、老朽化度やスラム度を認定し、そのような認定がなされたマンションについては再建に向けての総会議決要件を緩和する、などいろいろなものが考えられると思います。 先に、厚生労働省が認知症患者の早期発見、そして入院防止プログラムの導入を計画中と報じられましたが、同じように社会の高齢化問題が密接に絡むマンションの復旧・再建問題についても、もはや時代の潮流となりつつある事後規制型よりはむしろ「事前プログラム型」とでもいうべき制度設計が求められていると思うのです。