このほど12月20日、東京都豊島区で「マンション管理推進条例」が全会一致で可決され、来年7月1日より施行されることになりました。
これまでマンション管理については、耐震診断・改修や住民間のコミュニティー形成に対する補助事業など、地方自治体の支援はどちらかというと個別的な対策に終始しがちでしたが、このようにマンション管理に関して地方自治体が条例制定の形で全般的・包括的な視点からあるべき姿勢を示しつつ、管理組合や区分所有者にその推進を促すというのはまだまだ異例のことです。
実は平成21年3月に東京都中央区で「マンションの適正な管理の推進に関する条例」が制定されていましたが、このほどの豊島区の条例は住民名簿の作成保管や長期修繕計画の作成見直しなど8項目にわたり詳細に義務規定を設けたこと、こうした事項について管理組合に区に対する書面での報告義務を課したこと、および義務に従わない管理組合に対して区による指導監督の権限、さらにはマンション名公表の罰則までを規定し、より包括的で実効性を目指した画期的な内容となっています。
内容としては、住民名簿の作成や名簿規則の制定、長期修繕計画の作成・見直しなどはやはり管理組合にとっても相当負担となるものと考えられます。また、これからはずさんな長期修繕計画に基づく修繕積立金の取り崩しなどが違法行為と認定される危険性も増すことが考えられます。
豊島区の条例が今後どのように効果を挙げ運用されてゆくのか、おそらく都市部の多くの自治体は関心を持っていることでしょう。これから各地にマンション管理推進に関する条例制定の流れが生まれるのかどうか、一つの試金石になると思われます。