老朽マンション売却、所有者「8割」合意に緩和
リンクhttp://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131022-OYT1T01540.htm (YOMIURI ONLINE)
東日本大震災の発生を受けて被災マンション法の改正論議が行われていたころから,既に被災マンション以外でも,マンションの区分所有関係を解消する方法として可能性のあるものが建替えしかないのはチョイスとして狭すぎる,一括売却の方法も特別の多数決議でできるようにすべきだ,という声は強まっていたと感じていました。
このほどついに政府も法改正に向けて動き始めるようです。マンション跡地の再開発や不動産市場の活性化をも狙っているということで,アベノミクスの一環という位置づけもできそうです。
区分所有関係の終局的解消である一括売却に8割の賛成が必要とはいえ多数決制が採用されるのは,区分所有関係における
「所有権の絶対性」の修正の方向へとさらに大きく舵を切るものといえるでしょう。前記の被災マンション法改正以来のこのうねりが,建替えや一括売却以外の事項における議決要件などにも徐々に広がりを見せてゆくのかどうか,今後の動向が注目されます。一括売却制度の方ですが,建替えとは異なり区分所有関係を終局的に解消してしまう方法になるため,荒っぽいやり口での合意形成の過程による紛争の増加も懸念されます。デベロッパーなどもこうしたものに絡んでくる可能性が考えられます。この制度を利用したいという管理組合もきっと現れてくることでしょうが,合意形成にあたっては建替え以上に各区分所有者の十分な理解と協力を得るための努力が重要となることは間違いないでしょう。