区分所有法7条の先取特権の性質について

最近受任した滞納管理費回収の案件に関して調べ物をしておりましたら,区分所有法7条の先取特権が一般の先取特権なのか,それとも特別の先取特権なのかについて文献によって見解が割れているということがわかりました。渡辺晋弁護士の「区分所有法の解説」(住宅新報社)を参照しますと一般の先取特権と書かれていますし,鎌野邦樹教授らの「マンション法」(有斐閣)を参照すると特別の先取特権と書かれています。コンメンタールマンション区分所有法(日本評論社)では明確には書かれていないものの,どうも一般の先取特権であることを前提に書かれているようにも読めます。

もっとも,①区分所有法7条を一読して明らかなとおり,同条の先取特権は「債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上」に成立するものである以上,先取特権が債務者(区分所有者)の総財産を引き当てとするものではないこと,②区分所有法7条2項が同先取特権についてわざわざ「優先権の順位及び効力については」一般先取特権である「共益費用の先取特権」とみなすと規定していること,などからすると,区分所有法7条の先取特権は,特別の先取特権というべきなのではないか,と考えています。

ちなみにこの解釈の違い,大した違いはないように見えても,民事執行法の適用などで結構な差を生むということになります。

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