理事長,理事そして監事といった役職は,実は管理組合法人を設立していない管理組合においては,区分所有法上の概念ではありません。その代り,区分所有法は「管理者」という制度を規定し(区分所有法25条~29条),区分所有建物(マンションがその典型例)の管理の最高責任者として定めています。
管理者は,(1)保存行為,(2)総会決議の実行,(3)管理規約で定めた事項の実行,(4)総会の招集及び事務の報告,(5)管理規約や総会議事録の保管・閲覧措置,(6)対外的な管理組合の代理権,(7)損害保険契約に基づく保険金の請求や受領,(8)損害賠償金及び不当利得返還金の請求や受領,(9)訴訟追行権等の権限が付与されています。
管理者は,通常管理規約において定められるものであり,管理会社やマンション管理士等のプロフェッショナルが定められる例もあるようですが,これは全体からみれば割合は低く,理事長が管理者と定められるケースが多いようです。