不特定多数に対する実質的な宿泊施設としての営業、いわゆる「民泊」を専有部分で続けるオーナーに対し、管理規約違反を主張して区分所有法57条に基づく専有部分使用禁止請求と損害賠償請求を求めた事件の判決がこの1月13日に大阪地裁であり、民泊営業は管理規約に違反するものだと判断して50万円の損害賠償請求が認められました。なお、訴訟中にオーナー側が問題の専有部分を第三者に売却してしまったため、これにより民泊営業は終了したとして区分所有法57条に基づく専有部分使用禁止請求は棄却され、認められませんでした。
本訴訟では、大阪・日本橋の15階建てマンション(築14年、約70戸)の10階の1住戸を平成19年に問題のオーナーが購入し、平成27年11月ころから仲介業者を通じて数人程度の外国人旅行者らを相手に、最長9日間程度で貸し出す営業を始めたようです。
もともと管理規約では住戸部分は住戸として使用するよう定められておりましたので、管理組合が当該管理規約規定の存在を根拠として民泊営業を止めるようオーナーに通知しましたが、改善されなかったようです。その後も管理組合は「不特定多数の実質的な宿泊施設」としての専有部分使用を禁止する旨の管理規約改定を行い、さらにオーナーに通知がなされましたが、やはりオーナーは改善に応じなかったということです。
管理組合側は、問題の専有部分の鍵が屋外のセキュリティボックスで管理されていることなどのセキュリティーの問題、騒音やゴミ放置の問題、非常ボタンの誤用の問題など他の区分所有者の「共同の利益」に反する事実を一つずつ積み重ねて立証することで管理規約違反の事実を裁判所に認めさせることができました。
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