さる10月21日、国土交通省マンション政策室がマンション標準管理規約の改正案を発表しました。
改正点は多岐にわたりますが、ポイントとして下記の3点を指摘しておきたいと思います。
(1)役員の権限、義務の拡大
(2)外部専門家の理事選任条項新設
(3)管理関係情報の閲覧・開示規定の充実化
(1)役員の権限、義務の拡大
監事については、理事らに対する調査権や理事の不正行為の総会への報告義務、総会の招集権などが明確化され、その権限と義務がそれぞれ強化されました。監事による管理組合運営に対する監査業務を強化するための基盤がこれで一応整いますが、監事の業務負担が重くなり、監事のなり手が今後不足しないかは少々懸念事項となります。
その他、理事長の理事会への業務報告義務が明文化されました。
(2)外部専門家の理事選任条項新設
(1)のようにマンション管理組合役員の義務や責任が強化されたのと並行して、外部専門家活用の推奨がさらに一歩推し進められました。外部専門家が各役員や管理者に選任されるケースなど計3ケースが事細かに外部専門家の活用パターンとして改正規約別添に紹介されています。どのような場合に外部専門家の活用が想定されるかについても詳細に規定されているので、各管理組合での具体的なニーズに応じた選択が期待されます。
(3)管理関係情報の閲覧・開示規定の充実化
マンション管理組合の会計などの管理関係情報の閲覧・開示に関する規定がより充実しました。たとえば区分所有者がマンションを売却しようとする際に不動産仲介業者が管理関係情報を取得しやすくする意味があります。マンションの価値評価におけるハードからソフトへの着実な移行を反映した規定といえそうです。
その他、滞納管理費の遅延損害金の回収が管理組合の権利ではなく原則的に義務であることを明確化するなど、全体的に管理組合の管理を強化する方向での改正点が目白押しです。今後正式な発表までにどのような変更が生ずるのか、目が離せません。
以上