区分所有者が管理組合による玄関扉にリフォームシートを貼る改修工事への協力を拒否し続けたことに対し、管理組合が区分所有者に対して工事への協力義務と区分所有法57条に基づいて妨害禁止義務があることの確認を求めるとともに、訴訟費用(主に弁護士費用のこと)75万6000円の支払いを請求した事件で、東京地方裁判所が区分所有者に工事への協力義務や妨害禁止義務があることを認めるとともに、訴訟費用60万7500円の請求を認める判決を昨年2月に下しました。
標準管理規約7条2項二号を見る限り、一般にマンションの玄関扉は「区分所有者による専用使用権付きの共用部分」にあたるとみられ、結局共用部分にあたるわけですから、総会で玄関扉の改修を意思決定した以上、区分所有者に当該工事への協力義務や妨害禁止義務があることを認めた判決は妥当といえます。
また、本件で特筆すべきはこのような妨害排除請求訴訟において区分所有者側に弁護士費用の損害賠償責任を認めたことでしょう。
本件管理組合では、規約違反を原因として区分所有者を訴える際に理事長が弁護士費用を請求できる、という標準管理規約66条ないし67条に準じた規定を置いていたようですので、これに基づいて上記弁護士費用を区分所有者に対して請求したところ、その大部分の請求が認められたというものです。
いざというとき、きちんと訴訟提起にかかる弁護士費用を相手方に対して請求できる内容の管理規約になっているか・・改めて管理組合のみなさんにご確認をお願いしたいと思い直した次第です。