『修繕積立金を総会(特別)決議で分配・返還できるのか?できるとしたらその分配の基準はどうしたらよいのか?居住年数基準?専有部分の床面積の割合基準?』
このような疑問に一定の答えを与える判決が平成28年1月18日に福岡地裁小倉支部で下りました。
かつて修繕積立金を区分所有者の居住年数に応じて分配・返還する総会特別決議を行ったマンションで、管理組合が一部の区分所有者から総会決議の無効を訴えられて敗訴した後、管理規約を改正して修繕積立金の居住年数ベースでの分配を追認する旨の総会特別決議を行ったことに対し、区分所有者が総会決議無効の確認を求めて提訴していたものです。
結果は、居住年数ベースでの分配を著しく不公平なものと認め、専有部分の床面積割合ベースでの分配が利害の衡平に資するものであり適当と判断しました。つまり総会決議は無効との判断です。
もっとも、本判決においても、総会(特別)決議により修繕積立金を分配・返還することについて区分所有法上適法とのお墨付きが与えられたと考えるのはやや早計でしょう。本判決は「配分することが可能であるとしても」という仮定的な表現を用いることでこの点の明確な判断を避けていることは、やはりここで特筆しておきたいと思います。
いずれにしても修繕積立金の全区分所有者に対する取り崩しの手続は、実体面・手続面含めて法律上慎重な対応が必要となることは明らかですので、このような手続を検討されている管理組合様は、是非一度弊事務所までご相談になることをおすすめいたします。