駐車場使用料やライフライン使用料の支払義務も承継されるか

Q. 弊管理組合では区分所有者Aが駐車場使用料,区分所有者甲が水道使用料を滞納していました(水道料金は,管理組合で一括して水道会社に支払い,管理組合が各区分所有者に請求する形を取っています)が,その後それぞれAがBに,甲が乙に区分所有権を譲渡してしまいました。弊管理組合としては,(1)Aが滞納していた駐車場使用料をBに請求できるのでしょうか。また,(2)甲が滞納していた水道料金を乙に請求できるのでしょうか。

A. (1) 駐車場使用料支払義務の承継の有無について管理規約中に駐車場使用料の会計処理や駐車場使用契約に関する規定が予め十分なされていれば,駐車場使用料債権もまた「前条第一項に規定する債権」(区分所有法8条)に該当するとして特定承継人Bへの承継が認められ,Bへの駐車場使用料の請求が認められるのではないかと考えられます。この点について,東京地裁平成20年11月27日判決は,上記に挙げたような一定の条件のもと,駐車場使用料や駐輪場使用料支払義務の特定承継人への承継を認めています。

(2)水道料金等ライフライン使用料の承継の有無についてa.区分所有建物の用途,及びその割合,b.ライフライン使用料を管理組合による一括立替払いとしている理由・必要性,c.規約の整備状況等を総合的に判断し,一定の場合にライフライン使用料(本件では水道料金)支払義務の特定承継人(本件では乙)への承継が認められると考えられます。この点について,大阪高裁平成20年4月16日判決は,上記に挙げたような一定の条件のもと,水道料金支払義務の特定承継人への承継を認めています。

大阪高裁平成20年4月16日判決の概要は,こちらをクリックするとご覧になれます。

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