Q. 弊マンションは築35年になりますが,共用部分であり各区分所有者に専用使用権の設定されている各戸バルコニー窓の初めての一括改修工事を予定しています。ところで,この工事費用は,果たして管理組合が負担しなければならないものなのでしょうか。管理組合としては,これらを実際に使用してきた各専用使用権者(区分所有者)に負担してもらいたいと考えているわけですが,果たしてそのようなことが可能でしょうか。
A. ごく単純化していえば,経年劣化に基づくものは専用使用権者の負担,それ以外のアップグレード的なものは管理組合による負担といえるかもしれませんが,改修工事の検討に至った理由や経緯,予定されている工事内容をもよく検討する必要があるでしょう。
判例は,通常の使用に伴う管理に必要なもの(具体的には,窓サッシの戸車、玄関内のタイトゴム、トイレの窓ガラス、窓サッシのクレセント、窓サッシのレール、網入ガラス等を経年劣化に伴って改修する工事)については専用使用権者の負担で,それ以外の工事は管理組合の負担に帰すると判断したものがあります(仙台高裁平成21年12月24日判決)。
なお,同判例は,修繕工事が通常の使用に伴う管理に必要なものと考えられる場合でも,総会決議でその修繕費用を管理組合の負担と決議することは可能であると判示しています。
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