区分所有建物の中間取得者への請求

Q. 管理費等の滞納者Aがいましたが,A所有専有部分について競売がなされBが取得した後,さらにこれをCが購入取得しています。BやCに対して滞納管理費等を請求することができますか。

A. Cについてはもちろんできます。Bについても,できると考えられます。

まず,現区分所有者のCは間違いなく,管理費等を滞納した区分所有者Aの「特定承継人」にあたります。特定承継人とは,特定の原因に基づいて債務や債権を承継したものという意味で,相続などに基づいて債務や債権などの前主の地位を包括的に承継した者を意味する「包括承継人」と対置されるものです。

そして,区分所有法8条は「前条第一項に規定する債権(管理費等債権と考えていただいてよいです)は,債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」と規定されていますので,同条に基づき,AはCに対しても滞納管理費等を請求することができます。

一方,現区分所有者ではなく区分所有建物の中間取得者であるBに対しては請求できるでしょうか。この点については,大阪地裁平成21年7月24日判決が判断を示しています。同判決によれば,中間取得者も「特定承継人」にあたることを否定する理由は特になく,いったん管理費等支払義務を負担することになった中間取得者が,区分所有建物の所有権を手離したからといって,当該義務を免れることになる理由も特にないとして,中間所得者の管理費等支払義務を肯定しています。

当該判決に従う限り,本件でも,中間取得者Bに対して滞納管理費等を請求することは可能といえそうです。

大阪地裁平成21年7月24日付判決の概要については,こちらをクリックしてご覧ください。

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