A 抵当権が設定されている建物が落札された場合、最初に賃貸借契約を結んだ時期によってその後の流れが変わります。
(1) 平成16年4月1日以降にその賃貸借契約を締結した場合
この場合は、原則として新しい所有者(競落人)に賃借権が主張できず、退去を求められれば6か月以内に、建物を明け渡さなければなりません。また、敷金関係は新しいオーナーには引き継がれていないので、その返還を新所有者に求めることはできません。
(2) 平成16年3月31日までに賃貸借契約を締結した場合(更新した場合を含みます)
この場合は、契約期間が3年以内の短期賃貸借であれば、競落後であってもその契約期間が満了するまでは住むことができ、敷金の返還も新所有者に請求することができます。
(3) 差押(競売開始決定)後に賃貸借契約や更新契約をした場合
この場合は、もはや競落(買受)人に賃借権を主張することはできませんので、新所有権から立退きを求められたら明渡しを拒むことはできません。注意が必要です。